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2026/08/18Column

2026年、シンガポールは今もASEAN進出の最適な拠点なのか: これから進出する日系企業が知っておきたいメリットと準備のポイント

こんにちは!

シンガポールCBDにおける日系シェアオフィスのパイオニア、
Zero-Ten Park(旧 The Company・クロスコープ (Crosscoop))です。

新興市場として注目される東南アジアは、国際通貨基金 (IMF)のデータによると、域内全体の国内総生産(GDP)は約4兆4,200億米ドル、人口は6億8,000万人を超え、欧州連合を上回る規模となっています。中でもシンガポールは、2026年初頭時点でGDPは6,062億3,000万米ドルと域内で2番目に高く、一人当たりのGDPは9万9,042米ドルと最も高い水準にあります。World Economic ForumのASEAN報告書によると、東南アジアでは2030年に約1億4,000万人の新規消費者が加わると予測されています。その頃には、世界の消費世帯の約6分の1が東南アジアに集中すると見込まれ、さらに、新興ASEAN諸国では所得水準が年間6~8%のペースで成長し、中間層が経済を牽引する市場へと発展していくと予測されています。

また、ASEAN諸国は購買力が高まっているだけでなく、中国に依存してきた製造業の多角化先としても注目されています。ベトナムは電子機器と繊維製品の主要輸出国として台頭しており、Samsungの世界最大の工場群がハノイ近郊に位置しています。インドネシアは、ニッケルと電気自動車(EV)用バッテリーのサプライチェーン(供給連鎖)が進んでいます。タイは東南アジアの自動車産業の中心地であり、フィリピンはビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業が発展しています。マレーシアとシンガポールは世界の半導体サプライチェーンにおける重要な拠点であり、シンガポールでは世界の半導体チップの約10分の1が生産され、世界の半導体製造装置生産量の約5分の1を占めています。(出典:CNA

ホルムズ海峡を巡る緊張が中東を超えて広がり、重要な国際海上輸送ルートの脆弱性が浮き彫りになる中、マラッカ海峡が注目を集めています。インド洋と南シナ海を結ぶマラッカ海峡は、世界の貿易とエネルギー輸送の大部分を担っており、世界で最も戦略的に重要な海上回廊の一つとなっています。そのような中、シンガポールとインドネシアは最近、マラッカ海峡をすべての人に開かれた、安全かつアクセス可能な状態に保つことを表明しました。これにより、両国が地域安定と経済成長にとって極めて重要と考える海上安全保障が、二国間関係における最重要課題として一層重視されています。

ASEANは、若年層の多い人口構成(年齢中央値約30歳)、中間層の拡大、そして急速なデジタル化の進展により、長期投資先として最も魅力的な地域の一つとなっています。マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイといった国々は、積極的に海外からの投資を呼び込んでいます。しかし、特に現在の世界情勢の影響などにより運営コストが上昇しているにもかかわらず、シンガポールは企業設立や地域統括本部の拠点として依然として高い人気を誇っています。

シンガポールは英語能力においてアジア第1位、世界第2位を誇り、成人識字率は97.6%に達しています。シンガポールのバイリンガル教育政策は、現地の人材が英語に加え中国語、マレー語、タミル語など、少なくとも1つ以上の他のアジア言語を習得しています。これにより、シンガポールを一元的な拠点として、東南アジア市場全体と効率的にコミュニケーションを図ることができます。

ASEAN市場への進出を検討する企業にとって、シンガポールは今も有力な拠点の一つです。

一方で、オフィス賃料や人件費などのコストは周辺国と比べて高く、「最初からシンガポールに拠点を構えるべきか」「まずは他のASEAN諸国から始めるべきか」と迷う企業も少なくありません。

しかし、シンガポールの価値は、単に国内市場へ参入することだけにありません。法制度、金融、物流、人材、情報、ビジネスネットワークが集まる場所に拠点を置き、そこからASEANや世界へ事業を広げられることに大きな強みがあります。 本記事では、これからシンガポール進出を検討している企業、または進出後間もない日系企業に向けて、シンガポールを拠点とするメリットと、進出時に押さえておきたいポイントをご紹介します。

1. 政治・規制・財政面での安定性

地政学的緊張と市場の変動が続く中、シンガポールの政​​治、規制、財政の安定性は高く評価されています。シンガポールの強力な法の支配、効率的な公共機関、透明性の高い規制、そして一貫した法執行は、長年にわたる政治的・経済的安定の実績につながっています。

一方、この地域の一部の市場では、頻繁な規制変更、不明確な執行、あるいは行政手続きの遅延などが発生し、企業にとって不確実性が生じています。収用や国有化、政治的暴力や社会不安、通貨の交換不能、政府機関による契約違反、税制や規制政策の変更など、これらのリスクはいずれも事業活動に大きな支障をきたす可能性があります。創業者や投資家、特にスタートアップ企業にとって、安定性はリスクを軽減し、長期的な計画策定を可能にします。

シンガポール政府は、近隣諸国や国際社会との協力関係を積極的に構築し、地域および国際協力の促進に努めています。シンガポールはASEANの創設メンバー5カ国のうちの1つであり、ASEANは貿易、安全保障、気候変動対策に重点を置く緊密な共同体へと発展しました。

シンガポール政府は汚職の抑制に大きな成果を上げており、汚職防止のための制度が整備され、効果的に機能しています。公務員における汚職率は地域内で群を抜いて低く、監査や内部統制のための様々な仕組みが設けられています。汚職捜査局(CPIB)は首相府の管轄下にあり、公共部門および民間部門における汚職を捜査しています。

シンガポールは世俗国家であり、宗教は法制度や政治制度にほとんど影響を与えません。憲法にはシンガポールを世俗国家と明示的に規定する条項はありませんが、1966年の憲法制定委員会の報告書は、宗教団体が意思決定プロセスに影響を与えない世俗国家であるされています。 1990年に制定された宗教調和維持法に基づき、宗教指導者や宗教団体は政治問題について発言することが禁じられています。

シンガポールの通貨は、近隣諸国と比較して安定しています。シンガポール金融管理局(MAS)は4月14日、イラン情勢による原油・天然ガス価格の高騰を受け、2022年以来初めて金融政策を引き締め、シンガポールドルの上昇を容認しました。株式市場も堅調で、株価は過去最高値に迫っています

シンガポールは、国際的な銀行、フィンテックインフラ、高度な金融サービスへのアクセスを備えた世界有数の金融ハブです。高い信頼性とコンプライアンス基準が整備されており、資金調達、国際決済、財務管理を近隣諸国より演歌kつに行える環境が整っています。

シンガポールは、東南アジアだけでなくアジア全体においても、常に最も政治的に安定した国として評価されています。

図:シンガポールと東南アジア諸国の政治・経済・ガバナンス指標の比較(出典:Transformation Atlas 2026

出典:Transformation Atlas 2026

2. 法人税率だけでなく、運用コスト全体で考える

シンガポールの法人税率は一律17%と、国際的にみても比較的低い水準にあります。日本の法人税や事業性などを含めた実効税率と比較しても低く、さらにシンガポールで事業を行う企業は以下のような税制上のメリットを享受できます。

  • 法人税率の17%
  • キャピタルゲイン(資本利得)は原則非課税
  • 株主への配当金は原則非課税
  • スタートアップ企業、中小企業、地域統括拠点などを対象とした各種税制優遇制度

例えば、一定の要件を満たす新規スタートアップ企業は、最初の10万シンガポールドル(約1,100万円)の通常課税所得の75%について免税措置を受けることができます。また、創業期を過ぎた企業尾についても、部分免除制度が設けられています。

一方、ASEANの他の国々では、シンガポールより低い法人税率や一定期間の免税措置が設けられている場合もあります。しかし、多くの場合、複雑な条件が付帯していたり​​、解釈が一貫していなかったり、コンプライアンスコストが高かったりすることもあり、進出先として検討する際はこれらのリスクや負担を考えることが重要です。シンガポールの税制は競争力があるだけでなく、透明性が高く、安定した環境で事業を運営しやすいことも大きな特徴です。

ただし、法人税率の低さだけを理由に進出を判断することはおすすめできません。実際の事業運営では、次のようなコストも発生します。

  • 法人設立および会社秘書役の費用
  • 会計、税務申告、監査などの費用
  • 登記住所やオフィスの費用
  • 駐在員および現地スタッフの人件費
  • 就労ビザ申請および更新費用
  • 保険、通信、IT、銀行関連費用

進出前に、設立費用だけでなく「会社を1年間維持するために必要な総コスト」を試算しておくことが大切です。 また、新設法人向けの税務上の免税制度は、すべての会社に自動的に適用されるものではありません。事業内容、株主構成、所得の種類などによって要件が異なるため、専門家への確認が必要です。

3. 会社設立と就労ビザは別に考える

日本企業がシンガポールへ進出する際に、特に注意したいのが会社設立と就労ビザの関係です。
外国企業や外国人がシンガポールで法人を設立する場合、原則としてシンガポール居住者である取締役を少なくとも1名置く必要があります。また、外国人による会社設立手続きには、登録されたCorporate Service Providerを利用する必要があります。

一方、シンガポール法人を設立しただけでは、日本人駐在員が現地で働けるようになるわけではありません。現地で勤務するためには、Employment Passなどの就労ビザを取得する必要があります。 Employment Passは、給与額だけでなく、年齢、職務、学歴、企業の状況、現地人材との補完性などを含めて審査されます。多くの申請では、ポイント制のCOMPASSも適用されます。

そのため、会社を設立してから就労ビザを検討するのではなく、法人設立前から会社設立と人員配置を一体的に検討することが重要です。

  • 誰を現地取締役にするか
  • 誰をシンガポールへ派遣するか
  • その役職と給与設定が適切か
  • いつから現地勤務を開始するか
  • ビサ取得までの期間をどう見込むか
  • ビザが取得できない場合の代替体制をどうするか

4. ASEAN市場を統括する拠点としての利便性

ASEANは一つの市場に見えますが、国ごとに言語、文化、宗教、法制度、商習慣、所得水準が異なります。そのため、ある国で成功したビジネスモデルが、そのまま別の国でも通用するとは限りません。 シンガポールには、金融機関、専門家、投資家、多国籍企業、スタートアップなどが集まっており、各国の市場情報やビジネスパートナーへアクセスしやすい環境があります。また、東南アジア各都市への航空アクセスにも優れ、周辺国への出張や複数市場の管理がしやすいことも特徴です。 シンガポール国内だけを販売市場として捉えるのではなく、

  • ASEAN事業を管理する地域統括拠点
  • 契約、財務、知的財産などを管理する拠点
  • 営業やマーケティングを統括する拠点
  • 周辺国への事業展開を検証するテスト拠点

として活用することで、その立地とビジネス環境をより有効に生かすことができます。

5. 最初から大きなオフィスを持つ必要はない

海外進出の初期段階では、売上、人員数、必要な設備、今後の事業規模がまだ明確でないこともあります。 そのような段階で長期の賃貸契約を結び、大きなオフィスを構えると、事業の変化に対応しにくくなる可能性があります。進出状況に応じて、次のように段階的に拠点を整える方法もあります。

市場調査・出張が中心の段階
コワーキングスペースや会議室を必要なときだけ利用し、現地での商談、採用面談、パートナー探しを進めます。

法人設立・事業検証の段階
登記住所を利用できるバーチャルオフィスや、少人数向けのデスクプランを活用します。郵便物の管理方法や銀行・行政機関からの書類を確実に受け取れる体制も確認しておきましょう。

駐在員の着任・採用開始後
専用デスクや少人数向けの個室へ移行し、事業の成長に合わせて席数を増やします。

チーム拡大後
より大きな個室や自社オフィスへの移転を検討します。 初期費用を抑えるだけでなく、事業の状況に合わせて柔軟に拡張できることが、サービスオフィスやコワーキングスペースを活用するメリットです。

シンガポール進出で重要なのは「設立後の運営」
シンガポールでは、会社設立そのものは比較的スムーズに進められます。しかし、実際に事業を軌道に乗せるためには、設立後の運営体制が欠かせません。
銀行口座、会計・税務、就労ビザ、人材採用、契約、営業活動、オフィス、郵便物管理など、必要な準備は多岐にわたります。

進出を成功させるためには、最初からすべてを大規模に整えるのではなく、

  1. シンガポール拠点の役割を明確にする
  2. 必要な固定費と運営費を把握する
  3. 事業計画と人員・ビザ計画を連動させる
  4. 信頼できる現地の専門家やパートナーを確保する
  5. 事業の成長に合わせて拠点を段階的に拡張する

  6. という進め方が現実的です。

Zero-Ten Park Singaporeが進出段階に合わせてサポートします

Zero-Ten Park Singaporeでは、これからシンガポール進出を検討する企業から、設立直後、事業拡大期の企業まで、それぞれの段階に合わせたワークスペースをご用意しています。

  • 法人登記住所として利用できるバーチャルオフィス
  • 出張時や市場調査時に利用できるコワーキングスペース
  • 24時間利用可能なコワーキングデスク
  • 荷物やモニターを置ける専用デスク
  • 集中して仕事ができるセミプライベートオフィス(半個室)
  • 1名から10名程度まで対応可能なプライベートオフィス(個室オフィス)
  • 商談やオンライン会議に利用できる会議室・防音ブース

単にオフィスを提供するだけでなく、シンガポールでの事業運営に必要な情報や、専門家・ビジネスパートナーとのつながりづくりもサポートしています。

「まだ法人設立前だが、何から始めればよいか知りたい」「設立したものの、オフィスや運営体制が決まっていない」といった段階でも、お気軽にご相談ください。

シンガポール進出の最初の一歩から、その先のASEAN展開まで、皆さまの事業に合った進め方を一緒に考えます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法務、税務、会計、就労ビザその他の専門的な助言を提供するものではありません。制度や要件は変更される場合があります。具体的な判断については、各分野の専門家または関係当局へご確認ください。

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住所

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